ホームページリニューアルについて
2023.07.14
ホームページリニューアル作業に入るため、ブログはしばらく休止します(数か月程度)。
2023.07.14
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2021.10.13
ニュースレターダウンロードページからNo39がPDFでダウンロード可能になりました。
2021.09.09
ブログをスタートしました。暫くは「世界の猛禽類」という内容で更新します。
2021.01.10
ニュースレターダウンロードページからNo.9別冊~18がPDFでダウンロード可能になりました。これで現存する全てが出揃いました。
2020.12.27
ニュースレターダウンロードページからNo.1~9がPDFでダウンロード可能になりました。
2020.11.27
ニュースレターダウンロードページを開設しました。
No.19-38がPDFでダウンロード可能になっています。
2010.12.21
主催:日本オオタカネットワーク・立教大学
里山の指標種と言われるサシバは、近年生息数が激減しています。そのため、2006年のレッドリスト改訂では絶滅危惧Ⅱ類に選定され、その現状把握と保護が課題となっています。サシバについては、今までの研究から、一部地域での繁殖生態や渡りのルートが明らかになっています。一方、最近の調査から、地域よる生活スタイルや生息状況の違いが指摘されています。そこで、各地の研究者が一同に会し、サシバの繁殖期の生態や生息状況について情報交換するとともに、今後の連携や保護のあり方を検討するためにシンポジウムを開催します。
日時:2011年3月5日(土)13:00~17:00
会場:東京都豊島区 立教大学池袋キャンパス
参加費:500円(資料代)
■ 日程
12:00 開場・受付開始
13:00 開会
13:10 基調講演 「サシバの繁殖期の生態」
東 淳樹氏(岩手大学農学部共生環境課程 保全生物学研究室 講師)
14:10 休憩
14:20 各地におけるサシバの生息状況の報告
岩手県、栃木県、長野県、福岡県 他
16:20 休憩
16:30 今後の連携や保護についての意見交換
17:30 閉会
■ 参加申込
2月20日までに、氏名、団体名、連絡先(電話かメール)を添えて、「日本オオタカネットワーク(新井真)」まで、メール(cxm02540@nifty.com)か電話(090-4796-7998)でお申込みください。
2010.12.19
オオタカ保護シンポジウムの案内ちらしに誤記載がありました。
申し訳ありません。お詫びして、次のように訂正いたします。
(正:cxm02540@nifty.com / 誤:cmx02540@nifty.com)
2010.11.21
2010年オオタカ繁殖状況アンケートへの協力を引き続きお願いします。
ニュースレターでご案内した締め切りは過ぎていますが、ご協力いただける方はよろしくお願いいたします。
2009.01.11
■「オオタカの生態と保全 -その個体群保全へ向けて-」
尾崎研一・遠藤孝一 編著 日本森林技術協会 発行
4年間にわたって行われた森林総合研究所とオオタカ保護基金の共同研究の成果をベースに、国内外の研究成果や保全の歴史、新しい保全策の提案など、「オオタカの生態と保全」のすべてを詳細に解説。
第一部:オオタカの生態
分布と形態、繁殖生態、営巣環境、餌動物と採食環境、行動圏、生息環境と環境選択性、遺伝的多様性、分散と渡り、個体群動態、個体群存続性分析
第二部:オオタカの保全
保全の国内状況、保全の世界的状況、保全の問題点と新しい個体群保全法の提案、個体群保全のための保護区の選定方法、保護区での保全策
オオタカ保護基金特価:2500円(定価2940円)
■「オオタカの営巣地における森林施業2 -生息環境の改善を目指して-」
関東森林管理局 編 日本森林技術協会 発行
ご好評いただいた1998年発行の「オオタカの営巣地における森林施業」(絶版)の続編。オオタカの生息環境の改善に資する森林施業のあり方に加え、山地に生息するオオタカやノスリの最新の研究成果についても記述。
オオタカ保護基金特価:4000円(定価:4725円)
<お申込み方法>
いずれの本も「日本森林技術協会」と「オオタカ保護基金」での直販のみで、書店では販売しておりません。
なお、オオタカ保護基金では上記の特別価格で販売中です。
オオタカ保護基金へのご注文は、本の名前、部数、送り先を明記して、ファックス、メール、郵便で、事務局までお申込みください。
代金は、本に同封された郵便振替用紙にてお支払いください。
オオタカ保護基金事務局
http://www.ucatv.ne.jp/~goshawk.sea/
〒320-0027 宇都宮市塙田2-5-1 共生ビル2階
Tel:028-627-8970 Fax:028-627-7891
2023.05.23
<分布など>
ヨーロッパの西側のスペインとフランスから、スカンジナビア東部、ロシア西部、カザフスタンまで、南側の地中海北部で繁殖する。非繁殖期をサハラ砂漠以南のアフリカで過ごす。移動の際は、通常、主要な移動経路を利用してアフリカのサブサハラに到達し、西はイベリア半島とアフリカ西部を、東は地中海と中近東で見られる。広大な分布を持っているため、減少傾向は見えず、安定しているように見えるので、この種は「軽度懸念(Least Concern)」と評価される。全個体数を10万~100万羽と推定している(Ferguson-Lees 2001)。フランスで10,000-15,000ペア(Duboisら2008)、スペインで1,850(Palomino and Valls 2011)、ベラルーシで8000-11000(Dombrovski and Ivanovski 2005)、ロシアヨーロッパで60000-80000(Galushin2012)とされている。ヨーロッパでは、繁殖個体数は120,000-175,000組、成熟個体数は241,000-350,000と推定されている(BirdLife International in prep.)。しかし、世界の全個体数はこれよりもはるかに多い可能性が高いと考えられている。
イタリア、マルタ、レバノン(del Hoyo et al. 1994, Ferguson-Lees and Christie 2001)、特にグルジアでは、多くの鳥が移動中に撃たれている。グルジアでは、この種は選別、消費、薬用として狩猟されており、移動中に最も多く狩猟される猛禽類である(van Maanen et al.2001)。最近、グルジアでの狩猟は、同国で毎年通過が記録される移動個体数の1.1%に影響を与えると推定され(Hoekstra et al.2020)、低いが著しい減少を示唆している。移動中の射撃による直接死亡が最も高い死亡原因として記録されている(De Pascalis et al. 2020)。ヨーロッパでは農薬の使用は大きな影響を及ぼしていないが、イナゴの餌を通して毒殺される可能性がある(Ferguson-Lees and Christie 2001)。
<分類>
亜種の分類は無い。
<渡り>
この種は非常に移動が多く、非繁殖期はサハラ以南の熱帯アフリカで過ごす。繁殖地を8月から9月に出発し、4月から6月の間に戻ってくる(del Hoyo et al. 1994)。スペインのジブラルタル海峡、イタリアの南部、ジョージアのバトゥミで大群の渡りが確認されている。バトゥミでは、ほとんど成鳥が渡るようで、毎年平均528,000個体、2012年には1日に180,000個体がカウントされている(Hoekstra et al.)。鳥はほとんど単独で行動するが、移動の際には群れをなし、羽ばたき飛行で広い水域を渡ることができる(Snow and Perrins 1998; Ferguson-Lees and Christie 2001)。この種は昼行性である(Snow and Perrins 1998)。
<飛翔形>
日本のハチクマに特に近い。指状部(Fingers)は基本的に6枚なのだが、P5(初列風切)の形状が微妙な形をしているために、指状部が5枚に見えたり、6枚に見えたりする。翼の幅は広く、クマタカなどに近い飛翔形をしている。首や頭部が細いた尖って見える。
2023.05.23
<分布など>
ロシアの沿海州、パキスタン北東部、インド、ネパール、ブータン東部のヒマラヤから、中国、カンボジア、ベトナム、日本まで生息する(Clark et al. 2015)。日本では全国に見られる(千葉県と沖縄県を除く)。この種は、生息地の喪失による中程度の減少が疑われ、今後3世代にわたって森林被覆の喪失率が20%になると予測されている。将来の個体数減少は、少なくとも森林被覆の損失と同等の割合であることが疑われるため、「NT(近危急種)」と評価されている。
Ferguson-Lees and Christie (2001)は、個体数を1,001-10,000個体と推定したが、後者の数字に近い可能性が高いと考えた。これは成熟した個体670〜6,700個体に相当する。日本の個体数は約1,800個体(Asai et al.2006)と推定されている。他の地域からのデータがないため、世界の個体数は1,200-6,700の成熟個体数帯に位置づけられる。森林破壊により個体数は減少していると思われる(Ferguson-Lees and Christie 2001)。2001年から2020年の間に、この種の範囲全体で森林被覆の7.5%が失われ(Global Forest Watch 2021)、これは3世代(29.79年[Bird et al.2020])で11.5%の損失に相当する。生息域の一部では、羽毛を目的とした狩猟(Taiban et al. 2019)、感電死、家禽被害による迫害(T. R. Subedi, S. Gurung, H. S. Baral, S. Thomsett, R. Buij and M. Virani in litt. 2021)といったさらなる脅威を受けている。本種は森林破壊に対して脆弱である(Clark et al. 2015, Global Raptor Information Network 2015)。森林破壊は、農業(Phumee et al. 2017)、インフラ整備、林産物の伐採(Chaudhary et al. 2016)によって引き起こされる。
<分類>
2亜種に分類される。P. h. cristatusは別種記載されていた(Wink et al. 2004a; Christidis & Boles 2008)が、遺伝的な差異が少なく、形態的差異も無いことから亜種となった(Monti et al. 2015, 2018; HBW/BirdLife, Clements)。
〇 N. n. nipalensis ヒマラヤから中国、マレー半島までに分布
〇 N. n. orientalis 日本に分布
IOCによると、日本産のものは固有亜種とされている。沿海州で繁殖するクマタカのDNAは中国や台湾の亜種に近いとされる研究が発表されている。
<飛翔形>
翼の幅は太く、長さもある。その為、翼が大きく雄大に見える。尾羽は短め。指状部(Fingers)は7枚。幼鳥時は初列風切のP1-P3が短く見えるために、翼の後縁が膨らんで見える。この特徴はハチクマやハイタカ属にも共通するが、クマタカは特に顕著である。
<渡り>
季節的な渡りは行わない。中国北東部で記録があることから、渡りの個体群がいる可能性がある。
<がりメモ>
2023年の3月に「クマタカ生態図鑑」が発刊された。情報を集約した良書であると思う。しかしながら、情報が古いことと、滋賀県山梨県個体の見解が多いのが多少気になる。
2023.03.29
<分布など>
極地を除くほぼ全世界に分布する。日本でも全域に分布する。この種は広大な分布を持つことなどから、減少率は低くいと考えられている。この種は「低懸念(LC)」となっている。
世界の個体数は120万個体と推定されている(The Partners in Flight Science Committee 2021)。ヨーロッパでは他地域と比べると少なく、19,200-27,200個体の成鳥が生息するとされる(BirdLife International in prep)。北アフリカでは地域的に絶滅危惧種に指定されており、成熟個体数は130~146頭と推定されている。また、スペインなども20番程度しか確認されていない。29年の間に北米における本種の個体数は108%増加している(Pardieck et al.2019)。他の推定ではもっと増加しているという報告もある。北アフリカでは、ここ数十年で個体数が激減し、モロッコでは1990年から2013年の間に35.7%減少したと報告されている(Monti et al. 2013)。また、インドでも本種は減少しているようである(State of India’s Birds 2021)。しかしながら世界全体としては増加していると推定されている。
アメリカにおいては、農薬使用のために1950年から1970年にかけて激減した。採集や狩猟によってスコットランドは一時絶滅したが、、現在は回復している(del Hoyo et al.1994, Ferguson-Lees and Christie 2001)。風力発電は影響に対して非常に高い脆弱性を持つ(Strix 2012)。
この種は、近年、イングランド、スペイン、イタリア、ポルトガルなどで再導入プロジェクトの対象になっており、成功したと考えられている(Ferrer and Morandini 2018)。
<分類>
4亜種に分類される。P. h. cristatusは別種記載されていた(Wink et al. 2004a; Christidis & Boles 2008)が、遺伝的な差異が少なく、形態的差異も無いことから亜種となった(Monti et al. 2015, 2018; HBW/BirdLife, Clements)。
〇 P. h. carolinensis カナダからアメリカに分布する。
〇 P. h. ridgwayi ブラジル東部からキューバ、バハマに分布する。
〇 P. h. haliaetus 基亜種。ヨーロッパから日本まで分布する。
〇 P. h. cristatus インドネシアのスラウェシ島、ジャワ島からオーストラリア沿岸部、ビスマルク島、ソロモン島、ニューカレドニアまで分布する。
<渡り>
熱帯や亜熱帯の個体は留鳥だが、非繁殖期には南米の盆地、北岸、西アフリカの低緯度地域に移動する個体もいる (del Hoyo et al. 1994) 。移動するものは8月に低緯度地域への移動を開始し、10月頃に到着する。また、3月から4月頃に営巣地に戻ってくる(Ferguson-Lees and Christie 2001)。この種は渡り時に集合せず、幅広い範囲を移動するとされる(Snow and Perrins 1998, Ferguson-Lees and Christie 2001)。
<飛翔形>
翼が細長い。指状部は5枚。飛翔形や翼がやや山なりに湾曲する姿はトビに似る。
<がりメモ>
結構好きな鳥。魚に見えたらジョウロだろうが、ゴミだろうが捕まえることがある。スペインに行った際は個体数が少ないため、ガイドが大興奮していたのが印象的だった。雌雄や成幼の識別がなかなか難しく、僕は結構苦手。
2023.03.17
<分布など>
インド、パキスタン、ネパールなどを北限とし、ミャンマー、タイ、ベトナム、マレーシア、フィリピン、インドネシア、パプアニューギニア、オーストラリア北部の沿岸部に分布する。日本では石垣島と西表島で1例の記録がある。この種は広大な分布を持つことなどから、減少率は低くいと考えられている。この種は「低懸念(LC)」となっている。世界の個体数は100,000羽以上と推定されているが(Ferguson-Lees et al. 2001)、中国の個体数は100番未満と推定されている(Brazil 2009)。生息地の喪失、迫害、農薬の過剰使用、そしておそらく人間の衛生状態の向上による利用可能な廃棄物の減少により、特に東南アジアで個体数が減少している(Ferguson-Lees and Christie 2001年)。
<分類>
〇 H.i.indus インドから中国南部およびベトナムに分布する。
〇 H.i.intermedius マレー半島、スンダ列島、フィリピン、インドネシアのスラウェシ島に分布する。
〇 H.i.girrenera インドネシアのモルッカ諸島。ニューギニア、オーストラリア海岸部、ビスマルク諸島に分布する。
〇 H.i.flavirostris キリバス、ソロモン諸島などに分布する。
<渡り>
渡りはしないと考えられる。
<飛翔形>
ミサゴのような飛翔系が近い。指状部は5枚で海岸線を飛ぶことが多い。翼の幅は狭く、細長く見える。
2023.01.19
<分布など>
カナダ南部の一部、アメリカから南アメリカ全土に分布する。北部のものは南下しメキシコから中米あたりで越冬する。広大な生息域を持っている。世界的個体数は推定されているがまちまちで、All About Birdsによると約1800万羽、BirdLife Internationalによると約450万羽である。全体的な個体数は安定していると思われる。この種は北米において過去40年間で161%の増加、10年当たり27.1%の増加と統計が出ている(Butcher and Niven 2007)。増加しているが「低危険種(LC)」とされている。
<分類>
6亜種に分類される。
〇 C. a. meridionalis 北アメリカ西部
〇 C. a. septentrionalis 北アメリカ東部
〇 C. a. aura 南西アメリカの南カリフォルニアから南テキサス、コスタリカ、大アンティル諸島
〇 C. a. ruficollis 南コスタリカ、パナマからアルゼンチン、ブラジル
〇 C. a. jota コロンビアからアルゼンチン南部
〇 C. a. falklandicus エクアドルからチリ南部、フォークランド諸島
<渡り>
アメリカ北部のものは渡りをする。渡りのコースはある程度集結する傾向にあり、観察できるポイントはあると考える。アメリカ東部のものは海岸沿いに南下、フロリダあたりで越冬している。アメリカ中部のものは大陸の中央部を南下し中米を経由し南米へと入る。アメリカ西海岸のものは海岸沿いを南下している。
<飛翔形>
非常に翼が大きく長い。角度によってはチュウヒ類に見えなくもないが、ハゲワシ類が最も近い。尾が長いためにハゲワシ類とは一線を画すが多く迫力がある。
2022.12.09
<分布など>
オーストラリア、パプアニューギニア、インドネシア、フィリピン、タイ、マレーシア、スリランカ、インド、中国などの海岸沿いに見られる。日本では記録がないが、今後期待される種である。
以前、世界の個体数は約1,000-10,000羽と考えられていた (Ferguson-Lees and Christie 2001)。中国では繁殖ペアが100-10,000組程度と推定されている(Brazil 2009)。オーストラリアでは、少なくとも500組と考えられているが、過小評価である可能性が高い(Department of the Environment 2020)。香港では、2010年に57羽が生息していると考えられ(So and Lee 2010)、最近の推定では15組となっている(Y-T. Yu in litt. 2020)。ミャンマーでは約100-120ペアと考えられている(C. Zöckler in litt. 2020)。シンガポールでは10-15ペアが報告されている (Y. Ding Li in litt. 2020)。また、広く分布していることから、最近では全体の個体数が10,000を超えるとも考えられている (S. Garnett in litt. 2020)。入手可能なすべての情報に基づき、ここでは個体数を2,600〜41,000頭の成鳥が生息すると現在は推定されている。
オーストラリアでは、主に1980年代から1990年代にかけてニューサウスウェールズ州、ビクトリア州、タスマニア州、南オーストラリア州で報告された局所的な減少や範囲の縮小から、個体数は減少していると考えられているが、北部や熱帯の遠隔地における個体数は安定していると考えられる(環境庁2020年版)。ビクトリア州では、農業や都市の拡大のために海岸林が伐採され、本種が減少したことが疑われている(Clunie 1994)。しかしながら、2000年から個体数は安定している(BirdLife Australia 2020)。
State of India’s Birds (2020)の最近の情報によると、インドでは過去25年間で72.59%減少しており、3世代で83%減少したことに相当すると考えられる。過去5年間では、年間5.89%の減少が推定されており、2015年から3世代で87%の減少に相当する可能性があるが、不確実性が高い。さらにインドでの動向を分析したところ、2007年から2018年の間に最小で12.23%の減少、最大で49.81%の減少と推定された(S. Quader, Praveen. J and A. Wiswanathan in litt. 2020)。インド国内での著しい減少やその他の局所的な減少を考慮しても、人間の妨害、射撃、中毒、水辺の森林の伐採による繁殖適地の喪失、そしておそらく農薬の過剰使用により、全体の個体数は限界的に減少していると考えられる(Ferguson-Lees and Christies 2001)。これらの理由から「低危険種(LC)」と評価される。
沿岸,島,海岸,マングローブ,河口および陸上の湿地に生息するが,森林地帯や開けた場所,低地のモンスーン林にも生息する (Debus and Kirwan, 2020)。海抜1,500 mまで生息するが,標高900 m以下ではよく見られる。魚類,爬虫類,鳥類,哺乳類,腐肉など幅広い獲物を食べる (Siu-tai et al. 2003)。本種は生息地の破壊、狩猟、農薬による中毒などにより脅威にさらされていると考えられている(Ferguson-Lees and Christie 2001)。ビクトリア州では、農業や都市の拡大のために海岸林が伐採されたため、本種が減少した疑いがある(Clunie 1994)。
<分類>
亜種の分類は無い。
<渡り>
渡りはしないと考えられる。
<飛翔形>
非常に翼が大きく長い。指状部は6枚。ややV字で飛翔していることが多い。尾羽は白いが短いために寸づまりに見える。とまり姿も尾羽が隠れるためにぼてっとして見える。
2022.11.27
<分布など>
ロシア南東部、モンゴル北部、中国北部、サハリン、日本全土で繁殖する。日本では東北以北で主に繁殖してたが、2004年頃から南西進が見られている。今現在は愛知、三重、福井あたりまで進出している。大阪、奈良、兵庫、岡山、広島、福岡、大分などで局所的に繁殖している。個体数は定量化されていないが、減少傾向も見られていない。これらの理由から「低危険種(LC)」と評価されている。沿海州のシホテアリニ地方南部では最大800組が生息していると推定される。
<分類>
日本産鳥類目録第7版ではノスリ( Buteo buteo)の亜種であったが、日本産鳥類目録第8版ではIOCに準拠する見込みでCommon buzzardから種分化する予定(Rasmussen & Anderton 2005 Lerner et al. 2008).。Eastern buzzardになると4亜種がこの種に括られる。
〇 B. j. burmanicus ロシア南東部、モンゴル北部などで繁殖する。下雨覆や下腹部、跗蹠が暗色の傾向があるが詳細は現在のところ不明。アジア大陸の海沿いを移動し、九州地方などで越冬する B. japonicusの亜種として burmanicusの確認が発表された (James 1988)、(中原ら 2022) 、(永井ら 2020)などを参照。沿海州のシホテアリニ地方南部(ハバロフスク近辺)では最大800組が生息していると推定される。
〇 B. j. japonicus 基亜種。日本で繁殖する。フィリピンのルソン島にも記録があるような記載もある。
〇 B. j. toyoshimai 小笠原諸島で繁殖する。やや小型。背面の羽毛の色彩が淡く、全体的に白っぽい。小笠原諸島では85つがいが生息しているとされる (Suzuki & Kato 2000)。
〇 B. j. oshiroi 大東諸島で繁殖していたが絶滅した。全体的に黄土色がかり、背面や翼の羽毛の赤みが強い。
<渡り>
日本では主に青森県の竜飛岬や長野県の白樺峠、滋賀県の猪子山、北九州などで大規模な渡り(1シーズン4000羽前後)が観察される。韓国では北部の小青島、中国では大連などでも観察される。ロシアのウスリースク近郊のラズドルナヤ川下流域(ウラジオストックの北)でも春の渡りの時期に1,000羽以上がカウントされた(Shokhrin et al.2020)。
<飛翔形>
体が太く丸い。また頭が大きいのでずんぐりしている。翼はやや短いが幅がある。細かく羽ばたき、ホバリングも行う。指状部の分裂数は5枚。独特な飛翔形なので覚えやすいが、渡りの時は飛翔形が難しく感じることがある。
2022.11.06
<分布など>
ユーラシア大陸北部を除く広範囲で繁殖し、ベトナム北部、ミャンマー、ブータン、アフリカ大陸中南部で越冬する。日本では、東北地方以北で繁殖する。ヨーロッパの個体数は28万から44万個体が推定されている。ユーラシア大陸の30%をヨーロッパが占めていることから個体数が推定されており、93万から150万個体が生息しているとしている。
広大な繁殖地があることなどから、個体数変動が推測しにくい。ヨーロッパでは個体数が安定しているとされており、北アフリカ(モロッコなど)では森林生息地の減少から個体数減少しているといわれる。ウクライナでも森林伐採が影響ている。また、この種は風力発電開発の影響に対して非常に脆弱であるとしている(Strix 2012)。これらの理由から「低危険種(LC)」と評価されている。
<分類>
2亜種が見られる。
〇 F. s. subbuteo ヨーロッパから日本などほとんどがこの亜種
〇 F. s. streichi ミャンマーから中国南部、ベトナム、ラオスなどはこの亜種とされる。見た目の違いは写真を見る限りはわからなかった
<渡り>
本種のほとんどは渡りを行う。ヨーロッパ周辺の個体群はアフリカに渡り、ほかの地方のものは南アジアに渡る。8月から10月に南方へ渡り、3月から4月頃に繁殖地に戻る。サシバやハチクマなどのように集団になることがなく、大量に渡っていく姿を日本でみることは難しい。また、ルートも定まらないようで1個所に集中することはない。主に日中渡るが夜渡るものもいるらしい。韓国の離島ではかなりの数が渡っており、数百が見られることもある。
<飛翔形>
小型で体が細い。翼はハヤブサの仲間と同じで尖っている。初列風切分裂数(指状部)は3枚程度だが、ほとんどの場合分裂しているようには見えない。ハヤブサに比べると華奢に見え、アカアシチョウゲンボウに似ているように感じる。空中で餌を食べることが多い。
2022.09.18
<分布など>
インドの沿岸部および中国との国境、タイ、マレーシア、インドネシア、ベトナム、台湾、フィリピンの一部に生息する。日本では未記録であるが、八重山諸島では記録の可能性がある。分布域が広いため、詳細な個体数把握は出来ていない。個体数が減少しているように見えるが、よくわかっていない。様々な理由により、「低危険種(LC)」と評価される。
<分類>
11亜種に分類されている。ほとんどが島嶼性のもの。
〇 A. t. indicus 北東インドから南中国、インドシナ半島、マレー半島に分布。
〇 A. t. formosae 台湾に分布。
〇 A. t. peninsulae 南西インドに分布
〇 A. t. layardi スリランカに分布
〇 A. t. trivirgatus スマトラ島に分布。
〇 A. t. niasensis ニアス諸島に分布。
〇 A. t. javanicus インドネシアのジャワ島に分布。
〇 A. t. microstictus ボルネオ島に分布。
〇 A. t. palawanus フィリピン西部のパラワン島、カラミアン諸島に分布。
〇 A. t. castroi フィリピン西部のポリロ島に分布
〇 A. t. extimus 南東フィリピンに分布。
<渡り>
ほとんど移動しないとされるが、台湾では渡りの観察地で少数が見られている。その為、台湾産亜種が日本で観察される可能性がある。
<飛翔形>
日本で見慣れているオオタカとサシバの中間のような飛翔形をしている。指状部の分裂数は6枚だがあまり目立って分裂しているようには感じない。
2022.08.11
<分布など>
ヨーロッパ中南部、アフリカ中北部、中東地域、ネパール、モンゴル、カザフスタンなどに分布する。日本での記録はない。非常に広い分布を持つため、個体数推定は難しい。局所的な減少が見られるが、世界的な個体数の傾向は増加しているように見えるため、この種は個体数傾向基準に近づかない。これらの理由から「低危険種(LC)」と評価されている。本種の個体数をBothaら(2017)は80,000-120,000個体と推定しているがもっと個体数がいるといわれるデータもある。19~20世紀には中東やヨーロッパ、北アフリカでは、銃殺、家畜捕食者のために仕掛けられた罠、非ステロイド性抗炎症薬(フルニキシンやジクロフェナク)などによって激減している。また、狂牛病対策なども影響している(死肉を食べるが、処理されてしまう為)。ヨーロッパではジクロフェナクの禁止などが行われたことや、ヨーロッパ8か国では増殖計画が実施されてること、滅びた国々への再導入も行われていることなどから、増加傾向にあることは確かである。
<分類>
〇 G. f. fulvus ヨーロッパから北アフリカ、アジア地域
〇 G. f. fulvescens アフガニスタンからインド
の2亜種に分けられている。色味の違いは今のところ調べていないので、後日更新する予定
<渡り>
個体群はほとんど渡りを行わないが、少数派渡りを行う。スペインのジブラルタル海峡などでは少なからず確認されている。
<飛翔形>
典型的なハゲワシの飛翔系。次列風切の枚数が多すぎるために、通常のワシタカとは違う印象を受ける。翼が大きく、頭は剥げているため、見間違えることはない。
2022.07.19
<分布など>
インドや赤道より北のアフリカでは留鳥として生息している。ヨーロッパ南部、アフガニスタン、トルコなどでは繁殖しており、冬季は南部へ渡る。絶滅したエリアがいくつもある。
ヨーロッパの個体数は6100~9000羽とされており、全世界個体数は18600~54000羽となる。減少が著しく、「EN(危機)」とされている。
ヨーロッパの個体群は過去3世代で少なくとも10%減少している(BirdLife International in prep.)。ヨーロッパの繁殖個体群の40%を擁するスペインでは、1987年から2000年の間に少なくとも25%減少している。ギリシャの個体群は30年間で44~60%減少したと推定されている(Xirouchakis and Tsiakiris 2009, Grubet al.2014, Velevski et al.2015 )。中東の個体数減少は著しく、イスラエルで50~75%減少したことが報告されている(S. Aspinall in litt. 2005)。北アフリカでの減少は、3世代で50〜79%と推定されており、南アフリカ,レソト,スワジランドの地域で絶滅した(Taylor et al.2015),ナミビアでは繁殖種として絶滅している(Simmons 2015)。最も減少しているのはインドで1999年以降壊滅的な減少(年間35%以上)をしており、2000年から2003年の間に68%減少した(Cuthbert他 2006)。減少の原因は、動物用医薬品ジクロフェナックによる中毒とされている。ジクロフェナックは非ステロイド系抗炎症薬で、家畜の抗炎症、鎮痛薬として使用されています。ハゲワシにとっては毒性があり、ジクロフェナクを処方された家畜などを食べたハゲワシは数時間後に腎臓疾患によって死亡するといいます。2006年にインド、ネパール、パキスタンで全面禁止となってからは個体数は安定してきたと考えられている。
<分類>
〇 N. p. ginginianus ネパールから南インドまで 嘴の先端に黒色部が無い。
〇 N. p. majorensis カナリー諸島
〇 N. p. percnopterus 南ヨーロッパからアフリカまで 嘴の先端が黒い。
の3亜種に分けられている。色味の違いは今のところ調べていないので、後日更新する予定
<渡り>
島に生息するいくつかの個体群では,遺伝的な隔離がある。それらの個体群は渡りを行わない。北部の繁殖種は長距離の大陸間移動を行う。ジブラルタル海峡やボスポラス海峡,ダーダネルス海峡を利用してアフリカへ向かう (García-Ripollés et al. 2010, López-López et al. 2014, Oppel et al. 2015)。
<飛翔形>
ハゲワシなんだがハゲワシっぽくない飛翔系をしている。次列風切の枚数が猛禽類の中でも多いために翼が長く広く見える。
2022.06.16
<分布など>
フィリピンのルソン島、ミンダナオ島を中心としてパラワン島以外に生息している。海抜2,500mから低山の水辺の森や山麓、耕作地を含む開けた場所、林縁を好む。成鳥は生息域内で移動することが少ない。推定10,000羽と考えられており、「低危険種(LC)」とされている。生息地の破壊が進んでいるため、個体数の減少が疑われている(Ferguson-Lees and Christie 2001)。
<分類>
Spilornis holospilus(本種)はSpilornis cheela(カンムリワシ)の亜種として扱われていることが多いが、バードライフ・インターナショナルとFerguson-Lees, James and Christie, David A. (2001) によって種分化しており、IOCでも種として扱っている。
<渡り>
渡りは行わないとみられる。
<飛翔形>
私も1度しか観察したことが無いが、カンムリワシとの違いはほとんどわからなかった。飛翔形もほぼ一緒であると私は思った。Fingersは7枚。
2022.05.10
<分布など>
ヨーロッパ中央部から北欧、ロシア西部中央アジアにまで繁殖地があり、かなり広大な分布を誇る。ヨーロッパでは基本的に留鳥として見られ、北欧やロシア西部、中央アジアのものはインド、アフリカ中南部に渡って過ごす。個体数が多く、安定しているように感じられるため「低危険種(LC)」とされている。ヨーロッパでは176万~246万羽の成熟個体数がいると推定されている。生息域の面積の75%をヨーロッパが占めることから、全体で203万~346万羽が生息していると推定されている。ヨーロッパでは増加傾向とされているがはっきりしない。
<分類>
分布域が広く、島嶼を中心に6亜種に分けられている。本種は2008年に種分化され、シベリア、モンゴル、日本にいる分布するノスリ(Eastern Buzzard)とヒマラヤ周辺に分布するヒマラヤノスリ(Himalayan Buzzard)が種分化された。日本産鳥類目録第7版では、ヨーロッパノスリの亜種とされていたが、第8版においては種分化される予定である。
〇 B. b. insularum スペインのカナリア諸島およびポルトガルのアゾレス諸島に分布。
〇 B. b. harterti ポルトガルのマデイラ諸島に分布。
〇 B. b. pojana フランスのコルシカ島、サルデーニャ島、シチリア島、イタリア中南部に分布
〇 B. b. buteo 基亜種。ヨーロッパ北部からフィンランド、ルーマニア、トルコまで分布。下面はべったり黒褐色ではなく白色も目立つ。暗色型と淡色型が見られる。
〇 B. b. menetriesi トルコ東部からコーカサス地方を経てイラン北部に分布。 全体的に茶褐色べったりで赤みを帯びる。
〇 B. b. vulpinus ヨーロッパ北東部から中央アジアに分布。menetriesiより淡色で、尾羽も赤みが強い。
<渡り>
ヨーロッパの個体群は留鳥でほとんど移動しないが、漂行的な移動をする個体も少なからずいる。移動するものは南ヨーロッパやアフリカに渡る。東ヨーロッパや中央アジアの寒冷地のものは、繁殖個体群は渡りを行う。ほとんどはアフリカ中南部に渡るがインドに渡るものもいる。渡りの時期はは8月から11月の間とされ、2月から5月の間に繁殖地に戻る。半島や狭い海峡を渡る際には大きな群れを形成する(Brown他、 1982, Snow and Perrins 1998, Ferguson-Lees and Christie 2001)。
<飛翔形>
指状部の分裂は5枚と少ない。とても翼が丸みを帯びる。胴体が太い。黒い個体が多く、日本産のものがやたらと白く感じる。
2022.04.19
<分布など>
インド、ネパール、ミャンマー、タイ、ベトナム、インドネシア、フィリピンなどの東南アジア諸国、中国南東部に分布する。日本では石垣島、西表島のみで繁殖している。与那国島や竹富島でも記録はあるが数例にとどまっており、繁殖地は無いと考えられている。森林性猛禽類であることや広範囲に生息することなどの理由から明確な個体数はわかっていない。日本に限っては2012年に環境省の調査が行われ、188個体が生息するとされた。今現在も200羽程度が見られる。世界的個体数が減少している証拠や大きな脅威がないことから、個体数は安定しているとして、「低危険種(LC)」とされている。日本の個体群は数が少なく、ロードキル問題や開発問題が付きまとう。地面で餌を探したり、食べたりすることが多く車との衝突が絶えない状態となっている。道路脇の樹木や電柱などから道路を横断するように飛翔することもしばしば見られる。ほとんどのものは森林性だが、石垣島や西表島のものは道路や電柱などに出てくるものも多い。石垣島、西表島に行かれた際は制限速度を遵守し、カンムリワシが目の前を横切る可能性があると意識しながらの運転を心がけて頂きたい。また、ぶつかってしまった場合は速やかに下記に連絡して頂きたい。
カンムリワシ救護連絡先
●西表島の場合 西表野生生物保護センター 0980-85-5581(24H)
●石垣島の場合 環境省石垣自然保護官事務所 0980-82-4768 (休日、時間外でも担当者につながります) 石垣市教育委員会文化財課 0980-83-7269 石垣市 0980-82-9911 (代表)
<分類>
分布域が広いことやほとんど移動をしない種であることから、特に島嶼では多く分けられており、21亜種もある。日本のものは種分化する可能性があるが、今のところ見送られている。いくつかの亜種を完全に別種として扱うこと学者も多い。過去にはフィリピンカンムリワシ(S. holospila)、アンダマンカンムリワシ(S. elgini)、サウスニコバルカンムリワシ(S. klossi)などのいくつかの種がカンムリワシの亜種として扱われたことがあり、それくらいに風貌も生態も似ている。
〇 S. c. cheela インド北部、ネパール、ブータン
基亜種。最も大きいとされる。上面は暗褐色で胸部は胸部は薄く帯状になり、尾羽の暗色帯は1本。
〇 S. c. melanotis インド南部
小型で、頬は灰色、尾羽の暗色帯は2本。
〇 S. c. spilogaster スリランカ
胸が褐色で、頬と喉が灰色。
〇 S. c. burmanicus ミャンマー、中国南西部、インドシナ半島中央から南部
色が薄く、バーリングが多く、頬と喉が茶色い。
〇 S. c. ricketti 中国南部、ベトナム
淡い褐色で、斑点や帯はほとんどない。
〇 S. c. malayensis マレー半島(ミャンマー、マレーシア、タイ)、スマトラ(インドネシア)
頬と喉が暗褐色で、下腹部に白色の帯と斑点がある。
〇 S. c. davisoni アンダマン諸島(インド、ミャンマー)
淡く、胸に暗い横帯と尾羽の暗色帯が2本ある。Andaman Serpent Eagle(Spilornis elgini)という別種も見られる。
● S. c. perplexus 日本の亜種
小型に分類される(他の亜種がLength: 65-75 cm Wingspan: 123-155 cmに対し、本亜種は Length: 55cm前後 Wingspan: 110cm前後)。他の亜種に比べると淡く赤味がかっているといわれる。Ferguson-Lees, James and Christie, David A. (2001)では、Nias Serpent Eagleとして別種にするべきとして扱われている。
〇 S. c. hoya 台湾
頬と喉が黒く、下半身にはっきりとした白色の斑点がある。
〇 S. c. rutherfordi 海南島(中国)
黒っぽく、模様がはっきりとしている。
〇 S. c. pallidus ボルネオ島北部(マレーシア、ブルネイ、インドネシア)
中型で、より色が濃い。ボルネオ島にはMountain Serpent Eagle(Spilornis kinabaluensis)という別種もみられる。
〇 S. c. richmondi ボルネオ島南部(インドネシア)
淡い褐色で、頬と喉は灰色、胸には縞模様がない。ボルネオ島にはMountain Serpent Eagle(Spilornis kinabaluensis)という別種もみられる。
〇 S. c. natunensis ナトゥナ諸島およびブリトゥン島(インドネシア)
Ferguson-Lees, James and David A., Christie(2001)はNatuna Serpent Eagle としてこれを種として記載している。
〇 S. c. sipora ムンタワイ諸島(インドネシア)
Ferguson-Lees, James and Christie, David A. (2001) はMentawai Serpent Eagleとして種とみなしている。
〇 S. c. batu バトゥ島(インドネシア)
小型で、色も濃い。
〇 S. c. asturinus ニアス諸島(インドネシア)
小型。個体数はわかっていない。Ferguson-Lees, James and Christie, David A. (2001)では、Nias Serpent Eagleとして別種にするべきとして扱われている。
〇 S. c. abbotti シメルエ島(インドネシア)
小型。隔離された小さな島嶼で、種分化させるか意見が分かれている。数百羽が見られるという。
〇 S. c. bido ジャワ島、バリ島(インドネシア)
中型で、胸と上半身が黒く、腹にはっきりとした白斑がある。
〇 S. c. baweanus バウェアン島(インドネシア)
現在ではBawean Serpent Eagleとして別種であると考えられている。現在60-75羽しか存在しないとみられる。
〇 S. c. palawanensis パラワン島(フィリピン)
中型で、赤褐色のバーリングがある。Phillippine Serpent Eagleという別種がパラワン島以外のほぼフィリピン全土にみられる。
〇 S. c. minimus ニコバル諸島のGreat Nicobar is.以外か?(インド)
Central Nicobar Serpent EagleまたはSmall Serpent Eagleとも呼ばれる。ニコバル諸島には、ニコバルカンムリワシ Great Nicobar Serpent Eagle(Spilornis klossi) という別種もみられるが、Great Nicobar is.に限られるようだ。頭部が黒く、下腹部が褐色で、下腹部にはっきりとした白色の斑点がある。
<渡り>
渡りは行わないと見られる。台湾のテレメトリー調査では、1日の98%をとまっていることがわかっている。正式記録ではないが、近年になって八重山諸島の各島でも越冬している可能性が考えられている。そのことからも留鳥性が強い。大陸では夏季にしか見られない場所があるとされるがどこかわかる資料は見つけられなかった。
<飛翔形>
とてもクマタカに似ている印象を受ける。スマートさはなく翼の面積も広い。指状部の枚数も7枚であり、翼の後縁は膨らんでいる。遠くを飛んでいるとハゲワシ類に見えることもある。日本でみられるカンムリワシはなかなか飛んでいる姿を目撃することが少ない。
2022.03.13
<分布など>
オーストラリア全土、ニューカレドニア、パプアニューギニア中東部で見られる。タスマニアでは見られないとの記述もある。利用エリアは広大で湿地、河川、内陸の水路、沼地、氾濫原などの水のある場所を好むが、乾いた場所で見ることも出来る。トビと行動も似ており、港などに数百羽が集結することもある。推定個体数に関する資料が何故か見つからない。多すぎるが故に研究されていないのかは不明。 推定個体数が全く不明にも関わらず「低危険種(LC)」とされている。
<分類>
亜種は分けられていない。パプアニューギニアは隣接しているし、共通種が多いので理解は出来るが、ニューカレドニアの個体群も同一としている。
<渡り>
漂行的な渡りをするようだが、これも調べている資料は全くない。繁殖期前に数百羽が群れて移動する傾向があるとの記載は見られる。
<飛翔形>
白くて、丸尾なトビと
2022.02.07
<分布など>
スリランカ、インド南西部に生息する。レッグクマタカとしての減少評価は今現在文献はないが、今後3世代の間に森林被覆面積が20%が減少すると考えられていて、それと同等の減少が示唆されており、「準絶滅危惧(NT)」とされている。個体数の推定 Gjershaug (2006)は総個体数を繁殖個体数2,500未満と推定している。2,110 ha当たり1ペアという個体数密度の推定値(Thiollay 1993)と、西ガーツ山脈のこの種の範囲内に残る熱帯雨林の面積20,000 km²という推定値(Collins et al.1991) に基づき、Gjershaug (op cit.) はその地域に約1,000組が存在する可能性を推定している。スリランカでは、1995年に適切な熱帯雨林の残存面積が2,135 km²と推定されたが(Legg and Jewell 1995)、それ以降確実に減少している。このため、Gjershaug (op cit.)はスリランカの個体数をおそらく100ペア以下と推定している。IUCNレッドリストではMountain Hawk-eagleとして扱われているため(種分化されていない)、「純絶滅危惧(NT)」としている。
<分類>
クマタカ Nisaetus nipalensis (Mountain Hawk Eagle)の亜種kelaartiとして扱われていることが多いが、近年になって別種として扱われるようになった (Haring et al. 2007; Gjershaug et al. 2008)。その為、亜種記載はない。
<渡り>
留鳥性が強く渡らないか、インドと行き来している可能性があるのかもしれない。
<飛翔形>
日本で見られるクマタカと大きな違いはない。やや下雨覆が暗い色をしている点、暗色帯が細めというくらいの印象。最も違う点は長い冠羽を持つこと、嘴や後爪がクマタカよりも長いことなどが特徴だが、日本以外のクマタカでもそのような個体がいる為に識別点にならないと考えている。成鳥、幼鳥ともに日本のクマタカと似た声で鳴くが若干違う。
2022.01.14
<分布など>
ヨーロッパのほぼ全域からモンゴル、中国、ロシアの西部で繁殖する。冬季はインドやアフリカの中南部に渡って越冬する。日本では1989年に山口県の阿知須干拓で幼鳥の記録がある。世界的に個体数が多く、減少傾向は掴みにくいが、今後10年で10%程度の減少が予測されており、「低危険種(LC)」とされている。1969年から2004年の間、西アフリカでの越冬数調査において個体数減少のに大きな変化が見られなかったことがあげられるが、パキスタンとインドにおける2018年の越冬数調査では、減少傾向にあると報告されている。
個体数はヨーロッパでは、繁殖個体数は15万-24万羽の繁殖雌がいると推定されており、バードライフインターナショナルの報告である30万-48.5万羽という成鳥数と整合が取れている。ヨーロッパでの個体数は全体の約48%を占めている。これらを検討すると60万羽〜110万羽の個体数が生息すると推定されている。減少の要因は湿地の乾燥化や排水、狩猟、汚染、農薬、重金属中毒といわれる。いずれにせよ農地、湿地に依存しているために人間活動(農業)の変化によって個体数の増減が影響している。
<分類>
亜種aeruginosusと亜種hartertiに分けられる。ほぼ全てはaeruginosusだが、アフリカ北西部の一部に分布していると思われる。調べたが詳細はよくわからなかった。
<渡り>
9月から10月にかけて繁殖地を離れ、フランスから南はサハラ以南のアフリカ、東は中東まで移動する。2月から3月にかけて帰路を開始し、3月から4月に繁殖地に到着する。9月のスペインでは農耕地に集まり、日本のチュウヒで見られるような集団塒を形成していた。その中には渡り途中と考えられる他種も混ざっていた。
<飛翔形>
日本で見られるチュウヒと違いはない。飛行している姿、探餌している姿も特に違いは感じられなかった。
2021.12.12
<分布など>
中国北東部、北朝鮮あたり、ロシア南東部に広く分布する。ジンバブエ、ボツワナ、南アフリカなどで越冬する。個体数が多い為に渡りの時期には繁殖地と越冬地の間で多数目撃される。個体数は100万個体ともいわれるが、近年では30万~50万個体(2015年)と推定されている。その昔は狩猟などにより急速に減少したらしいが、近年は狩猟報告が無く、個体数は安定していると言われている。これらの理由から「低懸念(LC)」とされている。
<分類>
亜種は分けられていない。
<渡り>
大規模な渡りを行う。繁殖地から越冬地の間で多数記録される。全推定個体数が50万羽に達することから、特にユーラシア大陸沿岸部などでは観察記録が多い。特にインドのナガランド州では12から14万羽が観察される。日本では各地で少数の記録があり、長崎県では毎年記録される。しかしながら、繁殖地の関係で渡りのルート上に日本が該当しないことから、少数の渡りが確認されるにすぎない。私は10月下旬に韓国北西部の島嶼で500羽程度の渡りを観察したことがある。
<飛翔形>
飛翔形は日本で見られるチョウゲンボウと大して変わりはない。空中で捕食する姿などはチゴハヤブサに大変近いものがある。
2021.11.15
<分布など>
中国南部、ミャンマー、ラオス、タイ、ベトナム、カンボジア、インド北部国境付近で繁殖する。北部のものはタイやマレーシア、シンガポールに渡る。インド南部やスリランカの一部でも見られる。生息地である森林が破壊されていることなどから減少している可能性があり「低危険種(LC)」となっている。個体数は1万羽から2万羽程度とみられている。日本では未記録であり、渡来可能性は南西諸島ではあると思われるが、少し遠いかもしれない。
<分類>
南西インドからミャンマー、タイ、ベトナム、カンボジアのものが基亜種leuphotes、ヒマラヤから中国、ミャンマー北部のものは亜種syama、ニコバル諸島アンダマン島のものは亜種andamanicaとされる。日本に渡来可能性があるのは亜種syamaかもしれない。
<渡り>
留鳥のエリアもあるが、北部の個体群による鷹柱が見られる。
<飛翔形>
写真が無いのが申し訳ないが、翼幅があり、ノスリや八区亜Mの飛翔形に近い。体サイズが小さいことから、見間違えることは無い。Fingersは5枚が数えられる。
2021.10.20
<分布など>
アフリカ中南部、部の一部、エジプト、スペイン、フランスの一部、インド、スリランカ東南アジア諸国、パプラニューギニアに分布する。中国南東部や台湾にも分布するが、台湾の個体群は移入かもしれないと考えられている。日本では沖縄県の石垣島で2016年に初めて繁殖活動が確認され、2017年3月には幼鳥の巣立ちが確認された。それ以降毎年繁殖活動が確認されており、数巣番が年に3回程度繁殖行動を行っている。総個体数は10-20あたりで推移していると考えられている。また、石垣島以外でも確認例がある。また、台北で個体数が増加していることから、その個体群が移動してきたのでは?と言われている。分布域が広大であること、個体数の増減が多い地域があること、全体的な個体数が多いことから個体数推定がされていない。その為に個体数減少が推定されていない。これらの理由から「低危険種(LC)」とされている。
<分類>
ヨーロッパ、アフリカ、エジプトは亜種caeruleus、パキスタンから中国、東南アジアは亜種vociferus、スンダ列島、フィリピン、インドネシア、ニューギニアは亜種hypoleucusとされる。日本産鳥類目録第8版においては、亜種hypoleucusと記載される予定となっている。
<渡り>
ほぼ渡りをしない種である。中東では渡り鳥として記録されているが、定期的な移動は認められていないという。高山から低地まで生息していることや個体数の増減があることから、漂行的な動きをしているのではないかと考えられている。
<飛翔形>
飛翔形は日本のトビとは大きくかけ離れており、どちらかというとハヤブサ科の様に翼が尖る。Fingersは数えて良いのか良くわからないくらいの見え方をする。強いて言うならば3枚かもしれない。ホバリングを良く行い、降下したり上昇したりを繰り返しながら移動したり、探餌を行う。遠方をを飛翔していると波状しているように見えたり、ホバリングしたりするので、日本で鷹を見ている人にとってはしっくりこない動きに感じる。チョウゲンボウの仲間よりも海ワシ類の方が飛翔形は近いと思う。
<がりメモ>
東南アジアどこに行っても見かけるのでもう、特別感は無くなった気がするけど、顔立ちは歌舞伎?みたいな色合いをしている。ホバリングからの狩りが上手く、獲物を食べている姿をよく見かける。
2021.09.24
<分布など>
ヨーロッパのほとんどに分布するが、北欧では少ない。北アフリカのモロッコでも見られる。「準絶滅危惧(NT)」とされていたが、近年個体数が増加傾向にある為に「低危険種(LC)」に変更されている。スペイン、ポルトガル、ドイツ、フランスでは減少し、モロッコでは繁殖個体が居なくなっている。近年ではイギリス、スウェーデン、ポーランド、スイスで急増している為、全体的な個体数は安定もしくは増加という判断になっている。イギリス、スコットランドでは19世紀末に絶滅したが、ドイツやスペインなどからの再導入および保護活動の活発化で増加に転じている。減少の原因は殺鼠剤による2次被害の毒殺が主要因とされている。他にも風力発電、狩猟、ロードキル、森林破壊が要因となっているが、フランスとスペインではゴミ捨て場の減少という報告がある。
全個体数は成鳥で6万から7万羽と推定されている。分布域が遠く離れていることから、日本で観察される可能性は著しく低いと考えて良いだろう。標高1,600mまでの農地、牧草地、荒れ地の混じった広葉樹林や森林で繁殖している。モロッコでは標高2,500あたりの亜高山で繁殖していくしていたという。イギリス冬には荒地、低木林、湿地など幅広い環境に生息する。町や都市の周辺でも見られごみや腐肉食をあさっていたようだ。近年は郊外の庭園にも頻繁に出没するようになった。
<分類>
ヨーロッパのものは亜種milvusである。アフリカ東部の離島であるカーボベルデ共和国に別亜種fasciicaudaが生息していたが、1999年の調査では2個体しか確認されず、現在は絶滅した。主要な分布域であるヨーロッパから分布が離れていることなどから別種ではないか(Cabo verde Kite)と考えられていたが、最近の研究ではヨーロッパのものと同一と考えられている。IOCのリストでは未だ別亜種として記載がある。
<渡り>
ヨーロッパではほぼ留鳥であるが、北部のものはフランス南部、スペイン、イタリア、モロッコなどに渡る。8月から11月にかけて繁殖地から南下し、2月から4月にかけて北上する。
<飛翔形>
見た目はほぼトビ(Black Kite)だが、尾羽が長い赤いトビという印象。ややM字のように翼をたたみ気味で飛翔していることもトビと共通する。上面の模様もBlack Kiteとほぼ変わらないが赤みが強い。
<がりメモ>
日本のトビを見慣れているとなんか変?と感じる。だけど、親しみのある飛翔形と淡い赤みがとても美しく、ずっと見ていたいと思うような鳥でした。
2021.09.15
<分布>
日本では全国で見られますが、南西諸島では少なく、特に八重山諸島ではレアです。世界には南北アメリカ大陸、極地に近いエリアを除く広域に分布しています。アフリカ大陸北部やユーラシア中部でも渡りの時期には観察されます。何処に旅しても見かける鳥だなぁと私は思いますし、本当によく見かける鳥です。全世界個体数は100万から255万と推定されています。しかしながら、1950年代にはイスラエルで絶滅し(その後復活)、ヨーロッパなどでは人間活動や水質汚濁、環境の消失などのために減少しているとしている。
<分類>
世界的には5亜種に分類され、渡るものや留鳥である亜種が見られます。日本で観察される亜種はシベリアから日本、インド、中国、インドシナに分布します。お隣の台湾(中国海南省を含む)には別亜種formosanusが生息するため、与那国島では観察される可能性があるかもしれません。日本産鳥類目録第8版でも第7版と変わらずにトビ Milvus migrans lineatus(英名 Black Kite)が採用される見込みです。ヨーロッパからアフリカにいる亜種をニシトビとして別種扱いする説が依然残っています。
<渡り>
日本で観察される亜種はほぼ留鳥ですが、北部のものは南部に渡ります。11月下旬から12月上旬頃に北海道の中南部で沢山のトビが移動している所を観察出来ることがあります。一体どのような移動をしているのか興味深いです。また、スペインのジブラルタル海峡では、9月中旬頃に大規模な渡りが観察されます。
<飛翔形>
飛翔形は独特で他の鳥とは一線を画します。日本では遠く離れていると色合いが似ていることから、イヌワシのように見える時もあります。飛行していると、翼幅(翼の前縁と後縁の幅)が細く、更に翼自体が途中で曲がっているように見えることが多いです(常にM字飛翔しているような感じ)。尾羽はバチ状か、中央が凹むので類似種はかなり少ないです。旋回の仕方も一定のスピードを保った旋回もありますが、突如スピードを変えることが多い為、「あートビだな」と感じる飛び方をします。尾羽がごっそり抜けている個体を時折目にすることがあります。そのような状態のトビは、一見別種に見えることがあり、注意が必要です。
<がりメモ>
たくさんいるから無視しがちだけど、ちゃんと観察すると生態も形態も面白い鳥。防衛だってするし、興奮した声だって出す。頭のいい鳥なのです。
2021.09.05
今月から世界の猛禽類を不定期で紹介していこうと思います。
図鑑に載っている様な事を書いても面白くないと思いますし、どうしようか暫く悩みました。折角書くなら、あまり日本の図鑑で触れられていないことを中心に話を展開しようかなと思いました。
また、日本産鳥類目録第8版が出版され、世界的な分類に近づくことでしょう。それらに関する新しい内容にも触れられたらいいなと思います。
ただ、面白い内容にならないかもしれませんし、私自身の主観も入り込む可能性があります。正確ではない内容も含まれると思いますが、そのあたりはご容赦ください。
なお、分類はIOCのチェックリストに準じます。その他は「Bird Life international」を参照しています。
2023.10.04
第1回(1990年)東京
第2回(1991年)神奈川
第3回(1992年)栃木
第4回(1994年)栃木
第5回(1995年)千葉
第6回(1996年)静岡
第7回(1997年)茨城
第8回(1998年)東京
第9回(1999年)神奈川
第10回(2000年)兵庫
第11回(2002年)長野 共催:信州ワシタカ類渡り調査研究グループ
第12回(2005年)埼玉
第13回(2008年)東京
第14回(2011年)東京
2023.10.04
●独自調査
●環境省への調査協力
日本オオタカネットワークでは、環境省の行っている「オオタカ保護指針策定調査」に協力しています。
第一ステージ(平成12年度〜14年度)は終了し、現在第二ステージ(平成15年度〜19年度)の調査を行なっています。
なお、第一ステージの調査結果の概要については、以下の環境省HPを参照してください。
2023.10.04