世界の猛禽類

Vol.20 ミサゴ Osprey(Pandion haliaetus

2023.03.29

成鳥と考えられる。翼は長く途中で折れるように湾曲する。

 

魚を掴むときは狩りの方法の関係で頭が前になる。

 

ホバリングしながら可能の池や海、河川などを探餌する。

 

まるでグンカンドリのように翼を三つ折りに出来そう。

 

止まっているシーンを見ることも多いが、雌雄、成幼の判断は難しい。

<分布など>
極地を除くほぼ全世界に分布する。日本でも全域に分布する。この種は広大な分布を持つことなどから、減少率は低くいと考えられている。この種は「低懸念(LC)」となっている。
世界の個体数は120万個体と推定されている(The Partners in Flight Science Committee 2021)。ヨーロッパでは他地域と比べると少なく、19,200-27,200個体の成鳥が生息するとされる(BirdLife International in prep)。北アフリカでは地域的に絶滅危惧種に指定されており、成熟個体数は130~146頭と推定されている。また、スペインなども20番程度しか確認されていない。29年の間に北米における本種の個体数は108%増加している(Pardieck et al.2019)。他の推定ではもっと増加しているという報告もある。北アフリカでは、ここ数十年で個体数が激減し、モロッコでは1990年から2013年の間に35.7%減少したと報告されている(Monti et al. 2013)。また、インドでも本種は減少しているようである(State of India’s Birds 2021)。しかしながら世界全体としては増加していると推定されている。
アメリカにおいては、農薬使用のために1950年から1970年にかけて激減した。採集や狩猟によってスコットランドは一時絶滅したが、、現在は回復している(del Hoyo et al.1994, Ferguson-Lees and Christie 2001)。風力発電は影響に対して非常に高い脆弱性を持つ(Strix 2012)。
この種は、近年、イングランド、スペイン、イタリア、ポルトガルなどで再導入プロジェクトの対象になっており、成功したと考えられている(Ferrer and Morandini 2018)。

<分類>
4亜種に分類される。P. h. cristatusは別種記載されていた(Wink et al. 2004a; Christidis & Boles 2008)が、遺伝的な差異が少なく、形態的差異も無いことから亜種となった(Monti et al. 2015, 2018; HBW/BirdLife, Clements)。

〇    P. h. carolinensis カナダからアメリカに分布する。

〇    P. h. ridgwayi ブラジル東部からキューバ、バハマに分布する。

〇    P. h. haliaetus 基亜種。ヨーロッパから日本まで分布する。

〇    P. h. cristatus インドネシアのスラウェシ島、ジャワ島からオーストラリア沿岸部、ビスマルク島、ソロモン島、ニューカレドニアまで分布する。

 

<渡り>
熱帯や亜熱帯の個体は留鳥だが、非繁殖期には南米の盆地、北岸、西アフリカの低緯度地域に移動する個体もいる (del Hoyo et al. 1994) 。移動するものは8月に低緯度地域への移動を開始し、10月頃に到着する。また、3月から4月頃に営巣地に戻ってくる(Ferguson-Lees and Christie 2001)。この種は渡り時に集合せず、幅広い範囲を移動するとされる(Snow and Perrins 1998, Ferguson-Lees and Christie 2001)。

<飛翔形>
翼が細長い。指状部は5枚。飛翔形や翼がやや山なりに湾曲する姿はトビに似る。

<がりメモ>
結構好きな鳥。魚に見えたらジョウロだろうが、ゴミだろうが捕まえることがある。スペインに行った際は個体数が少ないため、ガイドが大興奮していたのが印象的だった。雌雄や成幼の識別がなかなか難しく、僕は結構苦手。