世界の猛禽類

Vol.32 ミナミツミ Besra(Tachyspiza virgata

2025.01.18

スリランカの亜種besra 雄成鳥と考えている

 

スリランカの亜種besra サシバのような喉線がある

<分布など>
台湾、フィリピン、中国南部、インドネシア、マレーシア、ネパールなどの高地、インド、スリランカに分布する。日本では可能性のある個体の観察例はあるものの未記録となっている。

この種は極めて広い生息域を持つため、生息域の広さ基準では、絶滅危惧Ⅱ類の閾値に近づかない。個体数が減少傾向にあるように見えるにもかかわらず、その減少は個体数傾向基準のもとで、絶滅危惧Ⅱ類のしきい値に近づくほど急激なものではないと考えられる。個体群サイズが非常に大きいため、個体群サイズ基準における絶滅危惧Ⅱ類のしきい値に近づかない。これらの理由からこの種は「低懸念(LC)」と評価される。総個体数を100,000個体、成熟個体数を67,000個体と推定している(Ferguson-Lees and Christie 2001)。国内の個体数は中国で約10,000~100,000繁殖ペア、台湾で約10,000~100,000繁殖ペアと推定されている(Brazil 2009)。他の地域からの情報がないが、成熟個体数40,000~400,000の範囲に位置づけられる。森林の減少が続いていることから個体数の減少が疑われている(Ferguson-Lees and Christie 2001)。2001年から2020年の間にこの種の生息域全体で、8.9%の森林被覆が失われ(Grobal Forest Watch 2021)、 2016~2020年の間に森林被覆の3.3%が失われ(Grobal Forest Watch 2021)、3世代にわたって予測すると10.3%に相当する。この種は森林の生息環境に大きく依存している(Ferguson-Lees and Christie 2001)。現在、この種に対する他の脅威は知られていないため、森林の消失と同様の割合で減少していると考えられる。インド、フィリピン、ジャワ島の低地における森林伐採がこの種にとっての主な脅威であるとされる(Clark and Marks 2014)。

 

<分類>
本種は10亜種に分類されている。

Indochina 西ヒマラヤから中国南部、タイ、ミャンマーなど
fuscipectus 台湾
besra 南インド、スリランカ
vanbemmeli スマトラ島の山地
rufotibialis ボルネオの山地
virgata ジャワ島、バリ島の山地
quinquefasciata フローレス島の山地
abdulalii アンダマン島、ニコバル諸島
confusa 北部、中央フィリピン
quagga 中央、南部フィリピン

 

<渡り>
渡りに関する記述は見られない。

<飛翔形>

指状部(Fingers)は5枚であり、日本で見られるツミ(Japanese Sparrowhawk)と変わらない。