世界の猛禽類

Vol.15 チゴハヤブサ Eurasian Hobby(Falco subbuteo

2022.11.06

F. s. subbuteo 成鳥

 

F. s. subbuteo 成鳥 雨覆の換羽コントラストが見える。

 

幼鳥。下腹部の茶色味はない。

 

目先のトンボを狙っている。捕まえて空中で食す。

 

成鳥

 

<分布など>
ユーラシア大陸北部を除く広範囲で繁殖し、ベトナム北部、ミャンマー、ブータン、アフリカ大陸中南部で越冬する。日本では、東北地方以北で繁殖する。ヨーロッパの個体数は28万から44万個体が推定されている。ユーラシア大陸の30%をヨーロッパが占めていることから個体数が推定されており、93万から150万個体が生息しているとしている。
広大な繁殖地があることなどから、個体数変動が推測しにくい。ヨーロッパでは個体数が安定しているとされており、北アフリカ(モロッコなど)では森林生息地の減少から個体数減少しているといわれる。ウクライナでも森林伐採が影響ている。また、この種は風力発電開発の影響に対して非常に脆弱であるとしている(Strix 2012)。これらの理由から「低危険種(LC)」と評価されている。

<分類>
2亜種が見られる。

〇    F. s. subbuteo ヨーロッパから日本などほとんどがこの亜種

〇  F. s. streichi ミャンマーから中国南部、ベトナム、ラオスなどはこの亜種とされる。見た目の違いは写真を見る限りはわからなかった

 

<渡り>
本種のほとんどは渡りを行う。ヨーロッパ周辺の個体群はアフリカに渡り、ほかの地方のものは南アジアに渡る。8月から10月に南方へ渡り、3月から4月頃に繁殖地に戻る。サシバやハチクマなどのように集団になることがなく、大量に渡っていく姿を日本でみることは難しい。また、ルートも定まらないようで1個所に集中することはない。主に日中渡るが夜渡るものもいるらしい。韓国の離島ではかなりの数が渡っており、数百が見られることもある。

<飛翔形>
小型で体が細い。翼はハヤブサの仲間と同じで尖っている。初列風切分裂数(指状部)は3枚程度だが、ほとんどの場合分裂しているようには見えない。ハヤブサに比べると華奢に見え、アカアシチョウゲンボウに似ているように感じる。空中で餌を食べることが多い。