Vol.22 ヨーロッパハチクマ European Honey-buzzard(Pernis apivorus)
2023.05.23
スペインで撮影。暗色個体幼鳥 成鳥も少数が渡っていたが、ほぼ幼鳥だった。
暗色個体幼鳥。
淡色よりのタイプ幼鳥。
ヨーロッパハチクマじゃないかもしれない。検証中。
<分布など>
ヨーロッパの西側のスペインとフランスから、スカンジナビア東部、ロシア西部、カザフスタンまで、南側の地中海北部で繁殖する。非繁殖期をサハラ砂漠以南のアフリカで過ごす。移動の際は、通常、主要な移動経路を利用してアフリカのサブサハラに到達し、西はイベリア半島とアフリカ西部を、東は地中海と中近東で見られる。広大な分布を持っているため、減少傾向は見えず、安定しているように見えるので、この種は「軽度懸念(Least Concern)」と評価される。全個体数を10万~100万羽と推定している(Ferguson-Lees 2001)。フランスで10,000-15,000ペア(Duboisら2008)、スペインで1,850(Palomino and Valls 2011)、ベラルーシで8000-11000(Dombrovski and Ivanovski 2005)、ロシアヨーロッパで60000-80000(Galushin2012)とされている。ヨーロッパでは、繁殖個体数は120,000-175,000組、成熟個体数は241,000-350,000と推定されている(BirdLife International in prep.)。しかし、世界の全個体数はこれよりもはるかに多い可能性が高いと考えられている。
イタリア、マルタ、レバノン(del Hoyo et al. 1994, Ferguson-Lees and Christie 2001)、特にグルジアでは、多くの鳥が移動中に撃たれている。グルジアでは、この種は選別、消費、薬用として狩猟されており、移動中に最も多く狩猟される猛禽類である(van Maanen et al.2001)。最近、グルジアでの狩猟は、同国で毎年通過が記録される移動個体数の1.1%に影響を与えると推定され(Hoekstra et al.2020)、低いが著しい減少を示唆している。移動中の射撃による直接死亡が最も高い死亡原因として記録されている(De Pascalis et al. 2020)。ヨーロッパでは農薬の使用は大きな影響を及ぼしていないが、イナゴの餌を通して毒殺される可能性がある(Ferguson-Lees and Christie 2001)。
<分類>
亜種の分類は無い。
<渡り>
この種は非常に移動が多く、非繁殖期はサハラ以南の熱帯アフリカで過ごす。繁殖地を8月から9月に出発し、4月から6月の間に戻ってくる(del Hoyo et al. 1994)。スペインのジブラルタル海峡、イタリアの南部、ジョージアのバトゥミで大群の渡りが確認されている。バトゥミでは、ほとんど成鳥が渡るようで、毎年平均528,000個体、2012年には1日に180,000個体がカウントされている(Hoekstra et al.)。鳥はほとんど単独で行動するが、移動の際には群れをなし、羽ばたき飛行で広い水域を渡ることができる(Snow and Perrins 1998; Ferguson-Lees and Christie 2001)。この種は昼行性である(Snow and Perrins 1998)。
<飛翔形>
日本のハチクマに特に近い。指状部(Fingers)は基本的に6枚なのだが、P5(初列風切)の形状が微妙な形をしているために、指状部が5枚に見えたり、6枚に見えたりする。翼の幅は広く、クマタカなどに近い飛翔形をしている。首や頭部が細いた尖って見える。