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Vol.28 アカハラダカ Chinese Sparrowhawk(Accipiter soloensis

2024.06.18

 

雄成鳥 虹彩が暗い色をしている
雌成鳥 虹彩が黄色い
幼鳥 胸にハート斑や縦斑が見られる
雄成鳥(右上)と2暦年(左下)P9-10が旧羽
群飛が壮大で数千の群れになることも多い

<分布など>
ロシア南部、北朝鮮、中国北東部、韓国北部と中国中部南東部で繁殖するが分布が離れている。冬季はフィリピン、マレーシア、インドネシアなどに南下して越冬する。生息域が非常に広い。個体数は減少しているが、現在のところ減少率は個体数傾向基準(10年間または3世代にわたり30%以上減少)の「絶滅危惧(Vulnerable)」のしきい値には達していない。そのため、「低懸念(Least Concern)」と評価される。ただし、個体数減少の割合が増加した場合、この種は絶滅危惧種に指定される可能性がある。そのため、継続的な個体数のモニタリングが必要である。中国、台湾では、気象レーダーを用いて春の渡りの時期に上空を通過する個体数を推定している。2004年には最大41万個体が推定された(Chen et al. 2004)、少なくとも225,935個体がわずか4月5日の間に上空を通過した(Sun et al.)。 Germi他(2009)は、2007年9月20日から11月30日の間に22.5万羽を数え、少なくとも35万羽のアカハラダカがインドネシア東部に渡来すると推定している。これらの合計は総個体数の最良推定値であるため、40万~100万個体が生息すると推定される。

韓国ではロバスト調査に基づくモデル化された占有率が1997~2005年と2013~2017年の間に11%(95%信頼区間-1~-20%)減少していることを見出している(Kim 2021)。調査期間の中間値を考慮すると3世代に相当する個体数減少率(指数関数的減少を仮定)は11.2%(1~21%)となる。 個体数減少の速度は、最後のペアが調査対象個体からいなくなったときのみ減少する占有率よりも速いと推測される。

この種の越冬範囲内での土地利用の変化は、ねぐらとなる生息地の喪失を もたらす可能性がある(Germi et al.) 例えば、バリ島での伐採作業は、ねぐらとなる場所の利用可能性を減少させる可能 性がある(Germi 2005)。日本と韓国では、二次林、特に工業地域周辺における営巣資源の損失が報告されている (Choi他、2008年)。航空機によるバードストライクも潜在的な脅威である(Tang et al.) 2015年にはバリ島の市場で1羽のアカハラダカが売りに出されているのが発見され、インドネシアでは19羽がSNS上で売りに出されていたが、取引の規模は大きくないと思われる(Germi and Waluyo 2006; Gunawan et al.)

<分類>
亜種は分けられていない。

<渡り>
長距離の渡りを行う種である。日本、台湾、中国、フィリピン、インドネシアの島々を経由し、個体数の大部分は台湾、中国、インドネシア北部のサンギヘ諸島およびタラウド諸島を通過する(Chen et al.2004, Germi et al.2009, Sun et al.2010)。第二のルートは東南アジア大陸を通り、タイ、マレーシア半島、スンダ列島に沿ったインドネシアへの通過が確認されている(Orta & Kirwan 2020)。近年の研究では渡りで夜間飛行を行うことが知られる。韓国を出発した個体の多くは夜通し飛行し、八重山列島に到着する個体が多い。長崎県を通過した個体は沖縄本島を経由した後、直接ルソン島に到達する個体が多い。群れになりやすく、日本では対馬、長崎県などで大規模な渡りが観察される。奄美大島、沖縄本島、八重山列島でも見られる。台湾南部でも大規模な渡りが観察される。

<飛翔形>
Fingersが4枚であるため、翼の先が尖り気味に見える。羽ばたきは速く、旋回も細かい。

Vol.27 ヒゲワシ Bearded Vulture(Gypaetus barbatus

2024.05.23

亜種barbatus 成鳥 唯一のチャンスを逃した

亜種barbatus 成鳥 唯一のチャンスを逃した
亜種barbatus 幼鳥 デカいというのが第一印象

<分布など>
モンゴル、インド、パキスタンなどの高標高地を中心として繁殖分布している。中東のトルコ、シリア、イラクやヨーロッパの一部、アフリカ東岸にもみられる。絶滅した地域も多い。個体数が急速に減少しているという証拠があるため、「NT(近危急種)」に指定されている。生息域の一部では保護活動により個体数が安定または増加しているが、ヒマラヤ山脈とインドの一部、および孤立した南アフリカの個体群では急激な減少が疑われている。減少の原因は、ジクロフェナク(家畜の抗炎症や鎮痛薬だがヒゲワシにとって毒性がある)によるものだけでなく、風力発電施設の衝突、撹乱の増加、餌の減少による死亡もある。総個体数を1,000~10,000羽と推定している(Ferguson-Leesら2001)が、ヨーロッパでは630~960ペアと推定されており、個体数としては1890~2880羽が生息しているとしている(BirdLife International in prep.)。 ネパールの個体数は2010年に約500羽と推定されている(K. Paudel and T. Galligan in litt. 2014)。イラクでは20ペア以下(R. Porter in litt. 2013)、アラビア半島では成熟個体数が100羽以下(Symes et al.) エチオピアには数百ペアがいると推定されている(I. Angelov in litt. 2011)。2011年現在、ケニアでは3ヶ所、タンザニアでは6ヶ所以上の巣が確認されているのみで、ウガンダの個体数は不明である。モロッコには6~10ペアが生息していると推定されているが(Cuzin 2019)、アルジェリアでの生息状況に関する最近の情報はなく、チュニジアでは絶滅したと考えられている(F. Cuzin in litt. 2011)。従って、北アフリカの総個体数は8~14ペア程度と推定される。南アフリカでは、個体数は約100ペアと推定されている (S. Krüger in litt. 2012)。したがって、世界全体の推定個体数は2,500~10,000羽となる。

個体数の動向は種の分布域全体で異なっている。ヨーロッパの個体数は1980年以降増加しているが、これは主に再導入プログラムなどの保護活動によるものである(BirdLife International in prep.)。しかし、ネパールのアッパームスタングでの調査では、2002年から2014年の間に個体数が89.3%減少したことが記録されており、ジクロフェナク中毒が原因と疑われている(Paudel et al.2016)。インドのヒマラヤでは、近年減少が認識されている(P. Trivedi in litt. 2013)。かつてはヒマラヤ西部と中部でよく見られたが、近年はヒマラヤ中部下部では攪乱のためかあまり観察されなくなり(R. Naoroji in litt. 2011)、ウッタラーカンドでは1990年代後半から明らかに減少している(M. Sharma in litt. 2014)。ラダックとヒマラヤ山脈の高地に生息する個体群は、安全であると考えられている(R. Naoroji in litt. 2011)。eBirdにおけるインドでのヒゲワシ目撃報告の頻度は、2000年から2018年の間に約60%減少しており、この地域における個体数の減少を示している(SoIB 2020)。カザフスタン南東部では個体数は安定しているようである(S. Sklyarenko in litt. 2011)。イエメンでは1980年代初頭から減少している(R. Porter in litt. 2013)。トルコにおけるこの種の生息域と個体数も近年減少している(K. A. Boyla in litt. 2014, BirdLife International 2015)。アルメニアでは1990年代以降、個体数は安定している(M. Ghasabyan in litt. 2011)。アフリカ南部の孤立した個体群では、死亡率の増加(Kruger et al. 2015)と繁殖成功率の低下(Kruger & Amar 2017)により、1980年代初頭から繁殖域が約27%減少し、繁殖テリトリー数は1960~1999年と2000~2012年の間に32~51%減少している(Krüger et al. 2014, S. Krüger in litt.) 全体として、個体数は過去3世代で20~29%減少した疑いがある。

ヨーロッパでは、飼育下繁殖と再導入プログラムがオーストリア、フランス、イタリア、スイスのアルプスで実施され、個体はその後フランスの他の地域にも広がった(Snow and Perrins 1998, Frey and Walter 1989)。スペインの一部では再導入計画が進行中である(J. A. Gil Gallus in litt. 2011)。ピレネー山脈では給餌場が設置され、その結果この種の個体数が増加しており、 この種の生息域全域に同様の給餌場が設置されれば、世界的な個体数密度が向上する可能性が ある(Ferguson-Lees and Christie 2001)。しかし、これらは個体数の増加や個体の生存率の向上に役立っている一方で、ハゲワシに悪影響を及ぼす可能性がある。例えば、生息地の飽和につながり、これらの地域では個体のテリトリーが重複し、生産性の低下につながる可能性がある(Carrete et al.)。

この種の世界的な個体数の動向を監視するために、協調的な調査を実施する必要がある。家畜に使用されるジクロフェナクやその他の薬剤、気候変動や野良犬の影響による脅威を評価するのが好ましい。営巣地やその周辺での撹乱を減らす。風力発電や送電線の影響を緩和すしたり、法律や啓蒙活動を通じて迫害の脅威と闘うことが必要である。また、この種の生息域全体に給餌場を設置する。

<分類>
2亜種に分類される。再導入個体も生息するため、亜種は微妙なのかもしれない。

〇 G. b. barbatus ヨーロッパ、北西アフリカから中国、ネパール、パキスタンに分布する

〇 G. b. meridionalis アラビアからアフリカ北東部、南部に分布

 

<飛翔形>
翼の幅は太く大きい。他のハゲワシ類と同様である。尾羽が燕尾であることが最も他と違いを感じる飛翔形だと思われる。

 

<渡り>
季節的な渡りは行わない。

<がりメモ>
風切羽根の数がなんせ多い。いったい何枚あるのか双眼鏡で数えたが瞬時に挫折した。

Vol.26 ハイイロチュウヒ Hen Harrier(Circus cyaneus

2024.03.26

雄成鳥(推定)

 

雄成鳥(推定)
雌成鳥
雌成鳥
雌成鳥

<分布など>

ロシア、中国北東部、ウクライナや北欧などで繁殖し、冬季は南下する。日本、韓国、台湾、中国からヨーロッパまで広域に広がる。モンゴルやアフリカ、インドではほとんど見られない。この種は生息域が非常に広い。ヨーロッパ個体群の繁殖雌数は56,300~86,600羽と推定されており、112,000~174,000羽の成鳥が生息すると推定されている(BirdLife International in prep.)。 ヨーロッパは全世界の生息域の約34%を占めていることから、全世界の個体数は330,000~512,000羽の成鳥が生息していると推定される。この推定は疑義が残る。生息域の改変が個体群サイズに及ぼす影響については不確実であるため、個体群の傾向 を決定することは困難である。ヨーロッパにおける全体的な傾向は不明確であるが(BirdLife International in prep.)、いくつかのヨーロッパ諸国で減少が報告されていることから、減少していることが疑われる(Fernandez-Bellon et al.)。 ヨーロッパでは生息域がここ数十年で縮小している(Keller et al.)。 アジアのロシアにおける傾向は不明である。この種は減少の危険が少ない、または判断が困難とされており、「低危険種(LC)」と評価されている。

 

現在の主な脅威は、農業の激化、湿地の消滅、再植林による生息地の変化である。植生の焼却は、繁殖地、非繁殖地ともにアイルランドで最もよく記録される圧力のひとつである(Caravaggi et al.)。 スコットランドのムーアと呼ばれる湿原などは、地域的に依然として深刻な圧力を受けている。300つがい以上の生息地があると推定されているにも関わらず、2013年にはイングランドで1組も営巣に成功していない(Pitches 2013)。2015年から2019年にかけて英国で衛星タグが付けられた117羽のハイイロチュウヒのヒナのうち、2020年6月に生存していたのはわずか15羽で、ほとんどが不審な状況で行方不明になっている(RSPB 2020)。中央ヨーロッパと東ヨーロッパでは違法に射殺されている(Tucker and Heath 1994)。

 

<分類>

亜種は分けられていない。

<渡り>

渡り個体がまとまって観察される場所はないが、冬季には暖地にやや移動する。

<飛翔形>

チュウヒよりも細長い翼をしている。

Vol.25 オオノスリ Upland Buzzard(Buteo hemilasius

2024.02.25

ヒマラヤで撮影:暗色型成鳥 尾羽にも横帯がある
ヒマラヤで撮影:暗色型と思われる
ヒマラヤで撮影:暗色型成鳥繁殖終わりで換羽が進行中
日本で撮影:日本で見られるものはほとんど幼鳥
若鳥 初列風切は白っぽい

<分布など>

モンゴル、中国、インド、パキスタン、ネパールを中心とした標高の高い地域で繁殖する。冬季になると渡りを行い、中国中北部エリア、韓国、日本、カザフスタンなどに飛来する。日本では各地に少数が飛来するが、年変動が大きい。与那国島では比較的観察例数が多く安定して見られる。

個体数に関するデータはほとんどないが、この種はその生息域のほとんどで希少な存在である(Orta & Kirwan 2020)。世界個体数は10,000個体以上と推定されているが(Ferguson-Lees et al. 2001)、各国の個体数は、中国では繁殖個体数が100~10,000ペア程度、移動個体数が50~1,000個体程度、越冬個体数が50個体未満、韓国では移動個体数が50個体未満、越冬個体数が50個体未満と推定されている(Brazil 2009)。日本での越冬個体は九州から沖縄が多く、本州に飛来例は比較的少ない。この種は生息域が非常に広いため、生息域の広さ基準では絶滅危惧Ⅱ類(Vulnerable)の閾値(しきいち)に達しない。個体数の傾向は変動しているが長期的には安定している。この種は「低危険種(LC)」と評価されている。ハクビシンの個体数の変動により変動している可能性がある(Ferguson-Lees and Christie 2001)が、既知の重大な脅威がないことから、長期的には安定していると考えられている。

 

<分類>

亜種は分けられていないが、淡色型や暗色型など様々な色合いが見られる。

<渡り>

渡り個体がまとまって観察される場所はないが、冬季には暖地にやや移動する。

<飛翔形>

指状部(Fingers)は5枚であり、ノスリと同じ。翼は幅広い。体は太く頭部が小さく見える。尾羽も長くはない。

 

 

Vol.24 サシバ Grey-faced Buzzard(Butastur indicus

2023.12.30

サシバの雄成鳥 個体変異は多いが、典型的な個体

雄成鳥 変異は大きいが典型的な個体 眉斑は無く、顔は灰色みがある

雌成鳥

雌成鳥 眉斑があり、顔は灰色みがない

幼鳥 胸の縦斑がある
渡り 個体数が集中して渡る

<分布など>

日本の九州より北方、朝鮮半島の一部、東シベリア、中国北東部で繁殖している。秋になると南方へ渡り、南西諸島、台湾、インドネシア、フィリピン、タイ、ミャンマーで越冬する。

個体数のデータは少なくほとんどないが、個体数 は100,000羽を超えると推定している(Ferguson-Lees & Christie (2001))。日本では宮古島の渡り個体数の増減から考えられており、過去10年では15000羽程度が平均値である。世界的には、渡りが中継地に集中することや繁殖地域の広さから、個体数 は100,000羽を超えると推定している(Ferguson-Lees & Christie (2001))。1980年に日本の宮古諸島で53,575羽(DeCandido et al. 2004)、1999年に日本で約32,000羽(Nitani 2000)、2003年にタイで14,962羽(DeCandido 2004)など、渡りの際に多数がカウントされている。朝鮮半島は少数といわれるが、詳細は不明。中国北東部などは多いと言われている。

個体数は狩り、繁殖地および採食地の喪失と劣化により、地域的に減少 していると考えられる(Ferguson-Lees and Christie 2001)。日本でも減少が記録されており、1970年代には28の調査単位で確認されたが、1990年代には1つも確認されなかった(植田他、2006年)。これらの減少は、昔ながらの水田の放棄や開発による生息地の喪失(Ueta et al. 2006)や、圃場整備などによる餌の減少(Fujita et al. 2015)と関連しているとしている。ロシアの個体群も移動ルート沿いの迫害により著しく減少している可能性がある(Orta & Marks 2020)。中国東北部における個体数の減少は、木材生産のための森林管理や農地の開墾による生息地の喪失と関連しているらしい(Deng et al. 2003)。この種は生息域が非常に広いが、生息域の広さ基準では、絶滅危惧Ⅱ類(Vulnerable)の閾値に近づいていない。個体数が減少傾向にあるように見えるにもかかわらず、その減少は個体数傾向基準(10年間または3世代にわたる30%以上の減少)のもとで、絶滅危惧Ⅱ類(Vulnerable)のしきい値に近づくほど急激なものではないと考えられる。個体群規模は非常に大きいことが疑われている。これらの理由から、この種は「低危険種(LC)」と評価される。中国北東部の森林における繁殖地の喪失は、農業開発と木材伐採によるものである (Deng et al.) 日本では、多くの伝統的な水田が放棄されたり、集約農業や住宅地、工業施設として開発されたりして、採食に適した生息地が減少している(Ueta et al. 2006)。台湾(中国)では毎年1,000羽もの鳥が渡りの際に撃たれている(Orta and Marks 2020)。

<分類>

亜種は分けられていない。

<渡り>

日本では各地で観察されているが、宮古島のカウントが日本の個体数と考えられている。1980年に日本の宮古諸島で53,575羽(DeCandido et al. 2004)、1999年に約32,000羽(Nitani 2000)、2020年で11713羽(宮古野鳥の会)が観察されている。台湾南部の恒春半島では2019年に70442羽、タイのインドシナ半島プロムスリ・ヒルで2003年に14,962羽が観察されている (DeCandido 2004)。

<飛翔形>

指状部(Fingers)は5枚であり、翼は細長い。体は太くも細くもないが華奢に見え、尾羽も長くはない。日本で渡りを見る場合はこの飛翔形が基本となる。

 

 

 

 

ブログ「世界の猛禽類」の再開

2023.11.18

HPリニューアル工事の完了に伴い「世界の猛禽類」を再開しました。Vol.23のヒメクマタカをUPしましたので、よろしくお願いいたします。

Vol.23 ヒメクマタカ Booted Eagle(Hieraaetus pennatus

2023.11.18

淡色型 この色合いが一番わかりやすい。

暗色型 日本では見ない微妙な飛翔形

<分布など>
ヨーロッパ南部から中央アジア南部、中東に及び、イラン、ヒマラヤ山脈、モンゴルには狭い範囲で生息している。ナミビアと南アフリカにも繁殖個体群がいる。日本では記録がない。ヨーロッパの個体数は23,330-30,300ペアと推定され、これは46,600-60,500の成鳥に相当する(BirdLife International in prep.)。 北アフリカの個体数は約10,000ペアまたは20,000羽の成鳥と推定される(Garrido et al.)。この種は森林破壊、人間による撹乱、迫害、餌生物種の減少により、地域的に減少している(Ferguson-Lees and Christie 2001)。ヨーロッパと北アフリカでは個体数は増加推定がされている(BirdLife International in prep.)。全体として個体数の傾向は安定していると考えられている(Global Raptor Information Network 2021; Orta et al.)が明確な根拠は少ない。インド亜大陸北部とバレアレス諸島の個体群は主に渡り鳥であり、アフリカ南部とアジア南部で越冬する。

生息域が非常に広いため、生息域の広さ基準(生息域の広さ、生息域の広さ/質、個体数、生息域の広さ/質が減少または変動していること、生息域の数が少ないこと、または分断が激しいことと、出現範囲が20,000km2未満であること)では絶滅危惧Ⅱ類(Vulnerable)の閾値に達しない。個体群規模は中程度から大きいかもしれないが、個体群規模基準(10,000個体未満の成熟個体で、10年間または3世代で10%を超えると推定される継続的減少、または特定の個体群構造)の下での絶滅危惧閾値に近づくとは考えられない。これらの理由から、この種は「低危険種(LC)」と評価される。
この種に影響を与えている脅威は、生息地の劣化、直接的な迫害、人間による撹乱などがある(Ferguson-Lees and Christie 2001, Orta and Boesman 2013)。ウクライナでの減少は森林伐採によるものであり(Orta and Boesman 2013)、ヨーロッパにおいては生息地の消失、草地管理の放棄、農業の集約化、都市化、植林、火災によるものである(2013~2018年の期間、EU加盟国が鳥類指令第12条に基づき報告した圧力と脅威のデータ)。西アフリカでは木材伐採、過放牧、焼畑、農薬が影響している(Thiollay 2007)。越冬地における有機塩素系農薬の蓄積は、この種の繁殖成功に影響を及ぼす可能性がある(Tucker and Heath 1994)。かつてスペイン南東部では、有機塩素汚染が個体数減少の一因となった可能性がある (Martinez-Lopez et al. 2007)。また、潜在的な風力発電開発の影響にも非常に弱い(Strix 2012)。1990~2006年にスペインで発生したブーテッドイーグル死亡例の19.5%は送電線が原因であり、その件数は期間を通じて増加している(Martinez et al.)。 同調査では、違法な人為的による死亡例の32.5%を占めていたが、調査期間中に件数は大幅に減少した。そのほとんどが射殺(19.5%)であったが、捕獲、わな、毒殺も発生していた(Martinez et al.) アルメニアでは密猟も脅威として認識されており、その主な理由は、ニワトリやハトなどの家禽類を殺してしまうのではないかという懸念によるものである(Aghababyan & Stepanyan 2020)。2016年にはマルタ島で渡り中に数羽が射殺された(RSPB 2017)。モロッコの市場でのこの種の取引が報告されている(Garrido et al.)。

<分類>
亜種の分類は無い。1つのミトコンドリアと2つの核遺伝子のDNA配列を用いた研究から、Booted Eagle(Hieraaetus pennatus)、Ayres’s Hawk-Eagle(Hieraaetus ayresii)【南アフリカの中央部から南部】、Little Eagle(Hieraaetus morphnoides)【オーストラリア】は単系統群を形成し、Wahlberg’s Eagle(Hieraaetus wahlbergi)【アフリカ中南部】は姉妹種であることが判明している。

<渡り>
渡り性の種である。ユーラシア大陸の個体群は、サハラ砂漠以南のアフリカとインド亜大陸で越冬するために渡りを行い、9~10月頃に多数が渡る。8月下旬に北方の生息域を離れ、通常10月中旬には越冬地に到着する。3月から4月初旬にかけて春の渡りが見られる。この種は部分的に広い前線上を横断すると考えられているが(地中海全域の島々で定期的に見られることから推測)、それでも多くの渡り鳥が毎シーズン、ボトルネックとなる短い横断地点であるジブラルタル海峡などを通過する。鳥は単独かペアで見られることが多く、渡りのときでも5羽以上の群れを作ることはまれで、他の猛禽類には近づかない(Ferguson-Lees and Christie 2001)。

<飛翔形>
日本のハチクマに似た飛翔形をしているが、クマタカにも見えたり、ノスリにも見えたりすることがある。指状部(Fingers)は基本的に6枚に見える。翼の幅は広い。

 

2023年の総会およびワークショップ開催

2023.11.09

2023年の総会およワークショップは、11月25日(土)~11月26日(日)に栃木県那須塩原市で開催することになりました。2020年からの3年間は新型コロナ感染拡大に伴いリモートによる開催でしたが、久しぶりの現地開催を予定しています。

25日の第一部では、現地視察を予定しています。那須高原のオオタカの営巣環境の視察を行う予定です。26日は総会に続き、ワークショップ第二部として会員からの研究報告や各地の話題発表などを行う予定です。リモート参加も可能です。

ニュースレター第40号の発行

2023.11.09

2年振りにニュースレターが発行されました。

・ 写真「抱卵中のオオタカ雌成鳥」

・ 頂点捕食者 生物多様性の指標になる研究紹介

・ 国内希少野生動植物種からの解除後のオオタカの状況

・ ネズミはいなくなって欲しいけど、いなくなると困る?-オガサワラノスリの食物事情-

・ 2023年のワークショップ開催のご案内

・ 活性化ワーキンググループ新メンバーの紹介

・ ホームページリニューアルのお知らせ