世界の猛禽類

Vol.24 サシバ Grey-faced Buzzard(Butastur indicus

2023.12.30

サシバの雄成鳥 個体変異は多いが、典型的な個体

雄成鳥 変異は大きいが典型的な個体 眉斑は無く、顔は灰色みがある

雌成鳥

雌成鳥 眉斑があり、顔は灰色みがない

幼鳥 胸の縦斑がある
渡り 個体数が集中して渡る

<分布など>

日本の九州より北方、朝鮮半島の一部、東シベリア、中国北東部で繁殖している。秋になると南方へ渡り、南西諸島、台湾、インドネシア、フィリピン、タイ、ミャンマーで越冬する。

個体数のデータは少なくほとんどないが、個体数 は100,000羽を超えると推定している(Ferguson-Lees & Christie (2001))。日本では宮古島の渡り個体数の増減から考えられており、過去10年では15000羽程度が平均値である。世界的には、渡りが中継地に集中することや繁殖地域の広さから、個体数 は100,000羽を超えると推定している(Ferguson-Lees & Christie (2001))。1980年に日本の宮古諸島で53,575羽(DeCandido et al. 2004)、1999年に日本で約32,000羽(Nitani 2000)、2003年にタイで14,962羽(DeCandido 2004)など、渡りの際に多数がカウントされている。朝鮮半島は少数といわれるが、詳細は不明。中国北東部などは多いと言われている。

個体数は狩り、繁殖地および採食地の喪失と劣化により、地域的に減少 していると考えられる(Ferguson-Lees and Christie 2001)。日本でも減少が記録されており、1970年代には28の調査単位で確認されたが、1990年代には1つも確認されなかった(植田他、2006年)。これらの減少は、昔ながらの水田の放棄や開発による生息地の喪失(Ueta et al. 2006)や、圃場整備などによる餌の減少(Fujita et al. 2015)と関連しているとしている。ロシアの個体群も移動ルート沿いの迫害により著しく減少している可能性がある(Orta & Marks 2020)。中国東北部における個体数の減少は、木材生産のための森林管理や農地の開墾による生息地の喪失と関連しているらしい(Deng et al. 2003)。この種は生息域が非常に広いが、生息域の広さ基準では、絶滅危惧Ⅱ類(Vulnerable)の閾値に近づいていない。個体数が減少傾向にあるように見えるにもかかわらず、その減少は個体数傾向基準(10年間または3世代にわたる30%以上の減少)のもとで、絶滅危惧Ⅱ類(Vulnerable)のしきい値に近づくほど急激なものではないと考えられる。個体群規模は非常に大きいことが疑われている。これらの理由から、この種は「低危険種(LC)」と評価される。中国北東部の森林における繁殖地の喪失は、農業開発と木材伐採によるものである (Deng et al.) 日本では、多くの伝統的な水田が放棄されたり、集約農業や住宅地、工業施設として開発されたりして、採食に適した生息地が減少している(Ueta et al. 2006)。台湾(中国)では毎年1,000羽もの鳥が渡りの際に撃たれている(Orta and Marks 2020)。

<分類>

亜種は分けられていない。

<渡り>

日本では各地で観察されているが、宮古島のカウントが日本の個体数と考えられている。1980年に日本の宮古諸島で53,575羽(DeCandido et al. 2004)、1999年に約32,000羽(Nitani 2000)、2020年で11713羽(宮古野鳥の会)が観察されている。台湾南部の恒春半島では2019年に70442羽、タイのインドシナ半島プロムスリ・ヒルで2003年に14,962羽が観察されている (DeCandido 2004)。

<飛翔形>

指状部(Fingers)は5枚であり、翼は細長い。体は太くも細くもないが華奢に見え、尾羽も長くはない。日本で渡りを見る場合はこの飛翔形が基本となる。