世界の猛禽類

Vol.25 オオノスリ Upland Buzzard(Buteo hemilasius

2024.02.25

ヒマラヤで撮影:暗色型成鳥 尾羽にも横帯がある
ヒマラヤで撮影:暗色型と思われる
ヒマラヤで撮影:暗色型成鳥繁殖終わりで換羽が進行中
日本で撮影:日本で見られるものはほとんど幼鳥
若鳥 初列風切は白っぽい

<分布など>

モンゴル、中国、インド、パキスタン、ネパールを中心とした標高の高い地域で繁殖する。冬季になると渡りを行い、中国中北部エリア、韓国、日本、カザフスタンなどに飛来する。日本では各地に少数が飛来するが、年変動が大きい。与那国島では比較的観察例数が多く安定して見られる。

個体数に関するデータはほとんどないが、この種はその生息域のほとんどで希少な存在である(Orta & Kirwan 2020)。世界個体数は10,000個体以上と推定されているが(Ferguson-Lees et al. 2001)、各国の個体数は、中国では繁殖個体数が100~10,000ペア程度、移動個体数が50~1,000個体程度、越冬個体数が50個体未満、韓国では移動個体数が50個体未満、越冬個体数が50個体未満と推定されている(Brazil 2009)。日本での越冬個体は九州から沖縄が多く、本州に飛来例は比較的少ない。この種は生息域が非常に広いため、生息域の広さ基準では絶滅危惧Ⅱ類(Vulnerable)の閾値(しきいち)に達しない。個体数の傾向は変動しているが長期的には安定している。この種は「低危険種(LC)」と評価されている。ハクビシンの個体数の変動により変動している可能性がある(Ferguson-Lees and Christie 2001)が、既知の重大な脅威がないことから、長期的には安定していると考えられている。

 

<分類>

亜種は分けられていないが、淡色型や暗色型など様々な色合いが見られる。

<渡り>

渡り個体がまとまって観察される場所はないが、冬季には暖地にやや移動する。

<飛翔形>

指状部(Fingers)は5枚であり、ノスリと同じ。翼は幅広い。体は太く頭部が小さく見える。尾羽も長くはない。