Vol.16 ノスリ Eastern Buzzard(Buteo japonicus)
2022.11.27
B. j. japonicus 成鳥と考えられる
B. j. japonicus 幼鳥
韓国の渡りで撮影 B. j. burmanicusと考えている。
韓国の渡りで撮影 B. j. burmanicusと考えている。
B. j. toyoshimai 白さが目立つ
<分布など>
ロシア南東部、モンゴル北部、中国北部、サハリン、日本全土で繁殖する。日本では東北以北で主に繁殖してたが、2004年頃から南西進が見られている。今現在は愛知、三重、福井あたりまで進出している。大阪、奈良、兵庫、岡山、広島、福岡、大分などで局所的に繁殖している。個体数は定量化されていないが、減少傾向も見られていない。これらの理由から「低危険種(LC)」と評価されている。沿海州のシホテアリニ地方南部では最大800組が生息していると推定される。
<分類>
日本産鳥類目録第7版ではノスリ( Buteo buteo)の亜種であったが、日本産鳥類目録第8版ではIOCに準拠する見込みでCommon buzzardから種分化する予定(Rasmussen & Anderton 2005 Lerner et al. 2008).。Eastern buzzardになると4亜種がこの種に括られる。
〇 B. j. burmanicus ロシア南東部、モンゴル北部などで繁殖する。下雨覆や下腹部、跗蹠が暗色の傾向があるが詳細は現在のところ不明。アジア大陸の海沿いを移動し、九州地方などで越冬する B. japonicusの亜種として burmanicusの確認が発表された (James 1988)、(中原ら 2022) 、(永井ら 2020)などを参照。沿海州のシホテアリニ地方南部(ハバロフスク近辺)では最大800組が生息していると推定される。
〇 B. j. japonicus 基亜種。日本で繁殖する。フィリピンのルソン島にも記録があるような記載もある。
〇 B. j. toyoshimai 小笠原諸島で繁殖する。やや小型。背面の羽毛の色彩が淡く、全体的に白っぽい。小笠原諸島では85つがいが生息しているとされる (Suzuki & Kato 2000)。
〇 B. j. oshiroi 大東諸島で繁殖していたが絶滅した。全体的に黄土色がかり、背面や翼の羽毛の赤みが強い。
<渡り>
日本では主に青森県の竜飛岬や長野県の白樺峠、滋賀県の猪子山、北九州などで大規模な渡り(1シーズン4000羽前後)が観察される。韓国では北部の小青島、中国では大連などでも観察される。ロシアのウスリースク近郊のラズドルナヤ川下流域(ウラジオストックの北)でも春の渡りの時期に1,000羽以上がカウントされた(Shokhrin et al.2020)。
<飛翔形>
体が太く丸い。また頭が大きいのでずんぐりしている。翼はやや短いが幅がある。細かく羽ばたき、ホバリングも行う。指状部の分裂数は5枚。独特な飛翔形なので覚えやすいが、渡りの時は飛翔形が難しく感じることがある。